2015年2月24日火曜日

最後の力を振り絞って、使命を果たすんです。

一日の仕事を終えて…
今日も夕陽が沈みます。
こうしてみるとやっぱり山の上にいるんだな…と思いますね。

私は「特別養護老人ホーム」に勤めています。
90~100歳代の人、結構います。
70代と言うと思わず「若いね」と言ってしまいます。

だから私なんかまだまだ「ひよっこ」です。

仕事柄、人間の身体が朽ちていく姿、人の生きざまをよく目にします。
100歳に近くなると…

見た目はもちろんですが皮膚がもろくなります。
ちょっと触れただけで、「ベロリ」と皮膚が剥離します。
くっつけようと皮膚をのばすつもりが…どこまでも剥がれていってしまいそうです。

骨がもろくなります。
何にもしていません…ただ寝ているだけで腕の骨が折れ…
呼吸してるだけで肋骨が折れます。
だって、その骨は「ゆで卵の薄皮状態」なんですもの。

寝たきりにさせない為に、日中車いすに移乗させます。
両脇に腕を入れただけで…
肩が外れます…
内出血が起きます。

お食事が入らなくなったので点滴をしましょう…
血管は針よりも細く…筋です。
オッ血管に入ったぞ…と喜んでも直ぐに「プ~」と膨れ…
血管は破けます…血管がもろくて液が入る勢いについて行けません。
良かった入ったよ…と喜ぶのもつかの間…
あれあれ…腕に足に…まるでシャボン玉のような可愛い水風船が付いています。
そう、毛穴から水がもれてるんです。

寝たきり廃用症候群にさせない為に、離床させます。
足を見ると腫れてます…
ベット臥床し、足を上げると、足の腫れは引きます。
でもね…よく見ると、足背にあった浮腫が…
大腿部の裏に…背中に移動しただけだと気づきます。


それでも、人間って生きるんですよ…
なぜここまで?

それはね、その人の地上での使命がまだ残されているからなんです。
終末期となり徐々に危ない状況になり、家族が集まります。
可愛い孫とちっちゃな曾孫など家族が集まってきます。

もう何にもしゃべれません…
目を開ける事もできません…
最後の最後にできる事は、家族に命の大切さを、生きる事の素晴らしさを、
身を持って教えて…声にならない声で語っているんです。

そして、壊れてしまった家族間の愛を修復し勤めを果たします。
その顔はとっても穏やかで微笑みさえも浮かべているかのようです。

「完了した。」と言っているかのように

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